BS日テレ 小さな村の物語イタリアまとめ 第283回 ロンバルディア州ブラオーネ|手作りの焼き菓子パン・メイーノとブリジディーニ

最終更新日

7/12放送の小さな村の物語イタリアはロンバルディア州のブラオーネ(Braone)です。


この放送は2018年8月11日のアンコール放送です。靴修理人の男性と男性の姉で元看護師の女性が紹介されました。


今回は靴職人の姉が作る手作りのお菓子をご紹介します。



アルプスの山々に囲まれたロンバルディア州ブラオーネで開かれるお茶会

第283回ロンバルディア州ブラオーネでは靴職人の男性の姉が作るお菓子がたくさん登場しました。


元看護師の姉は午前と午後の2回、淹れたてのコーヒーと手作りの焼き菓子を持って家の前に置かれたテーブルへと向かいます。誰にも声はかけなくても、村人が集まって来てお茶会が始まります。


夫が亡くなり兄弟の近くのアパートに引っ越してきたばかりの頃は、窓から村人にコーヒーを飲みに来ないか誘っても誰も遠慮して来てくれなかったそうです。

弟がテーブルを外に出してくれてから、コーヒーを持って外に行くようになると、少しずつ村人が集まってくれるようになったそうです。

毎朝、村人たちのためにクッキーを焼くおばあちゃん。

寝かせておいた生地をナイフで切り取り、瓶でのばしていきます。ハートの型で型抜きをしてオーブンで焼き上げます。

たった一枚の天板で何度もクッキーを焼くおばあちゃん。お菓子作りのすてきなところは、みんなが喜ぶ顔を思い浮かべてわくわくしたり、甘いお菓子の香りが部屋いっぱいに漂って幸せな気持ちになること。すてきな朝の時間です。


ロンバルディア州の伝統的なお菓子パン・メイーノ

おばあちゃんの手作りのお菓子に平たいビスケットと薄いポテトチップスのようなお菓子が登場したので調べてみました。


平たいビスケットはパン・メイーノ/パンジアルディナ/パン・デ・メイ(Pan meino/Pangialdine/Pan de mej)などと呼ばれるロンバルディア州の伝統的なお菓子かなと思います。


パン・メイーノは4月23日の聖ジョルジョの日には欠かせないお菓子で、見た目は佐賀市を代表する銘菓のひとつ「丸ぼうろ」によく似ています。「丸ぼうろ」という名前の由来には諸説ありますが、その中のひとつにヴェネツィアの商人「マルコ・ポーロ」が語源になったという説があり、ちょっぴり親近感がわいてきます。


パン・メイーノは外側は琥珀色の美しい焼き色がついていて、中は美しい黄色の甘いパンです。


名前の由来でもある「mej」は「粟」という意味で、昔は粟で作られていたそうです。現在は黄色い生地の特徴を残すためにとうもろこしの粉を使って作るそうです。


とうもろこしの粉と小麦粉を混ぜて作る現在のレシピが登場したのは1700年代になってからというから本当に古くから食べられていたお菓子なんですね。


最近はサンブーコを使わずにバニラやレモンの皮で風味づけしたり、粉糖をかけないレシピもあるようなのでお好きなレシピを探してみてくださいね。


サンブーコを使ってみたいという方は、ハーブティーの販売店で「エルダーフラワー」という名前で探すと見つけやすいです。

似たようなレシピを見つけましたのでご参考にどうぞ。
※イタリアのサイトへリンクします。

参照元 GialloZafferano

パン・メイーノ Pan meino (pan de mej)

YouTube Pangialdine





トスカーナの薄焼き菓子ブリジディーニ

もうひとつのお菓子は薄いポテトチップスのようなクッキーです。


薄いクッキーで調べてみると、チャッペ(Ciappe)と呼ばれるリグーリア州の薄いパン、「姑の舌」という意味のリングエ・ディ・スオチェーラ(Lingue di Suocera)と呼ばれるピエモンテ州の楕円形のクッキー、「猫の舌」という意味のリングエ・ディ・ガトー(Lingue do gatto)などの薄焼きクッキーが見つかりました。

リングエ・ディ・ガトーはフランスのラングドシャのことで、ラングドシャは「langue de chat」とも呼ばれているそう。イタリア、フランスどちらも猫の舌という意味なんですね。


どれも楕円形の薄いクッキーやパンなのですが、番組に登場したお菓子はポテトチップスのようなものだったので少し違うようです。見た目の特徴がいちばん似ていたのがトスカーナ州の薄い焼き菓子ブリジディーニ(Biscotti Brigidini)だったのでレシピを調べてみました。


ブリジディーニはトスカーナ州北西部に位置するピストイア県のランポレッキオ発祥のお菓子です。

材料は砂糖、小麦粉、卵、アニスシード、オリーブ油、塩で作りますが、お好みでバニラを入れてもよさそうです。

アニスは日本ではあまりなじみがありませんが、その歴史はとても古く昔から使われてきたハーブのひとつで、紀元前1550年頃にエジプトで書かれた医学書「エーベルス・パピルス」にも登場し、ミイラを作る際の臭い消しに使われてきました。


他にもアピキウスの料理書にも登場したりと、アニスだけでもまだまだたくさんのことを調べることができそうです。

ブリジディーニのレシピを探しましたのでこちらでどうぞ。
※イタリアのサイトへリンクします。


RICETTEDIGUSTO



YouTube Brigidini al forno ricetta e preparazione




イタリアのチコリCicoria(チコリア)

今回紹介された元看護師のおばあちゃんの弟さんは、村で靴の修理職人をしています。職人としての腕は確かなのに5ユーロ以上かかることはないため、近隣の村やミラノから車で靴を持ってくるお客さんも多いそうです。

サンダルの中敷きに接着剤をつけて貼り直したら、ミシンをかけ、ベルトを付け直します。持ち主が自分で中敷きを直した形跡を見つけて一緒に直していました。

小さな村の物語イタリアでは靴の修理職人がこれまで何人か登場しています。職人の技術はもちろんですが、イタリアの人たちは本当に靴を大切にしているんですね。

安い靴を買い、履きつぶしたら新しい靴を買うという使い捨てのような感覚はなく、修理しながら長く履き続けているようです。職人さんも少しでも長く良い状態を保ち、長く履いてもらえるように丁寧に修理をしているようでした。


おばあちゃんの弟さんの家でチコリア(Cicoria)と呼ばれるチコリが出てきました。日本ではアンディーブと呼ばれる小さな白菜のようなチコリが一般的ですが、イタリアにはいろいろな種類のチコリがあるそうです。


弟さんが育てているのはチコリアというチコリで、葉っぱが西洋タンポポやロメインレタスに少し似ています。刻んだチコリアのソースをペンネに絡めたり、ミンチ肉と混ぜて肉団子にするそうです。




ランチに作っていたのはコトレッタ(ミラノ風カツレツ)。堅くなったパンを叩いてからミキサーで砕き、ふるいにかけてパン粉も手作りしていました。便利なものを手に入れることもできるけれど、ちょっとしたひと手間をかけるところにマンマの愛情を感じますね。



詳しい放送内容は番組の公式HPでご確認ください。

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