BS日テレ 小さな村の物語 イタリアまとめ 第280回|小さな村の菓子職人
6/21放送の小さな村の物語イタリアはカンパーニャ州のセッラメザーナです。
この放送は2018年7月7日に放送されたアンコール放送です。村の菓子職人と木工職人が紹介されました。
今回は村の伝統菓子を中心にメモした内容をご紹介します。記録が漏れている部分がありますが、ぜひご覧ください。
村の菓子職人が作るトルタ・カプレーゼ
今回紹介された村人のキアラさんは2年前から村で菓子職人をしています。食料品店やスーパーから注文が入るとお菓子を作って届けています。
この日はなじみの店から3種類のお菓子の依頼があり、お菓子作りをしている様子が放送されました。
ひとつめはカプリ島のケーキという意味のトルタ・カプレーゼ。カプリ島発祥の小麦粉を使わないチョコレートとアーモンドのケーキです。
ソレントの作家チェチーリア・コッポラが著書「Zeppole, struffoli e chiffon rosso(ゼッポレ・ストゥルッフォリ・エ・シフォン・ロッソ)」にこう書いています。
アル・カポネの命でカプリに来たアメリカ人マフィアのためカプリのパスティッチェーレがアーモンドケーキを焼いたが、マフィアが怖くて小麦粉を入れ忘れて焼いてしまった。ところがそのケーキがあまりにもおいしかったのでアメリカ人マフィアがレシピを欲しがったのでこのケーキに「トルタ・カプレーゼ」と名前を付けてレシピを作ったというもの。タルトタタンと同じく、失敗からたまたま生まれたケーキという説が今ではとても有名です。
トルタ・カプレーゼはカプリだけでなく、ソレント、アマルフィ海岸にも広まっていきました。
お菓子の誕生秘話は諸説あり、当時の世の中の動き、歴史や文化と合わせて考えるととても楽しめます。本が出版されたのが2001年、1990年代のイタリアの歴史を振り返ってみるとまた違った一面も見えてきて面白いですね。
キアラさんはミキサーにかけたアーモンド(アーモンドプードルよりも粒子が粗くザラメ状)、溶かしたチョコレート、バター、砂糖、ハンドミキサーで泡立てた卵白を混ぜて型に流し込みオーブンで焼いていました。
粉砂糖がたっぷりとふりかけられたトルタ・カプレーゼは、キアラさんのお菓子の中で一番の人気があるそうです。
もうひとつはタラッリ・チレンターニというこの地域に伝わるお菓子です。タラッリはプーリア州の代表的なビスケットです。小麦粉、水、卵、オリーブオイルなどを混ぜた生地を手で転がして、30センチくらいの細いひも状にのばします。長さ10センチほどに切り分けたら、両端を重ね合わせてリング状にします。キアラさんは焼き上がったタラッリにアイシングをかけてカラースプレーで飾りつけをしていました。
タラッリも地域によって作り方は様々です。熱湯にくぐらせてからオーブンで焼いたり、生地に混ぜるものも少しずつ異なります。ワインやチーズを混ぜるとお酒のおつまみにぴったりなビスケットになり、食べ始めたら止まらなくなる美味しさです。
受け継がれていくお菓子のレシピ
お菓子作りは祖母に教わったというキアラさん。ひとつひとつ書きためたレシピ帳は何冊にもなり、小さく番号がふってあります。この大切なレシピたちが菓子職人としての新しい道を開いてくれたと話します。
おばあちゃんのキッチンにあったお菓子の粉、調理器具、部屋中に漂う甘いお菓子の香り。家族や親戚たちと過ごした日々を思い出しながら、お菓子を作ります。大切な人を思う気持ちがお菓子に不思議なエッセンスを加えてくれます。
受け継ぐことで自分もまたつなげていく、家族や親戚たちが与えてくれたものはかけがえのない財産となり、困ったときには知恵となり力となり助けてくれるのですね。
キアラさんは祖母から教わった地域の伝統のお菓子が生まれる場所を作りたい、村を訪れた人にここでしか味わえないお菓子の工房を作りたいと考えているそうです。
詳しい放送内容は番組の公式HPでご確認ください。