コロナの時代を生きるイタリアのオオカミ
BS日テレで放送されている小さな村の物語イタリアでカラブリア州のスタイーティ(Staiti)が紹介されたときにオオカミに襲われて首にひどいケガを負ったヤギがいました。
畜産農家の男性は150頭ほどのヤギを放牧させているため、けがをしたヤギをすぐに見つけることができませんでした。そのため傷口が壊死してしまい、ヤギは獣医師の治療を受けていました。
イタリアには現在、推定2000匹ほどのオオカミが生息していると言われています。保護活動が進められる一方で、オオカミがヤギや羊などの家畜を襲撃し、畜産農家に大きな被害をもたらしているという問題もあり、保護か駆除かで揺れています。
イタリアオオカミ(Canis lupus italicus)の保護活動
イタリアでは1970年までオオカミは駆除の対象だったため、その数は100匹ほどにまで減少してしまいました。そのためオオカミは1970年から保護の対象となり、少しずつ数を増やしてきました。
2005年にはイタリアのオオカミの数は500匹ほどにまで回復し、現在は推定2000匹ほどが生息していると推測されています。
2017年にはフィウミチーノ空港(別称レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港)近くのローマ州立自然保護区内にあるオアシス・カステル・ディ・グイド(Oasi Lipu di Castel di Guido)に設置された監視カメラに2匹のオオカミの子供が映っていたことがニュースになっています。
2匹は2014年からオアシスで観察されているヌマ(Numa)とアウレリア(Aurelia)というオオカミのペアの子供と報じられています。
オオカミの子供たちが監視カメラに映った場所からローマの休日のロケ地となったスペイン広場まで車で約30~40分ほど。観光客が多く訪れるローマから数キロしか離れていない場所にオオカミが生息しているなんて驚きますね。
そんなイタリアのオオカミですが、新型コロナウイルスの感染拡大によって封鎖された街の中で狩りをする姿が目撃されたと報じられています。
イタリア中部のアブルッツォ州スカンノでは4匹のオオカミがアカシカの群れを追って町を駆け抜け、レストランのテラスを横切る姿を野生動物愛好家の男性が目撃したそうです。
アカシカの群れは高い柵を飛び越えて逃げましたが、そのうちの一頭がオオカミに捕まってしまったのだとか。3月9日からのイタリアにおけるロックダウンで、男性は少なくとも3回は町中での狩りを目撃したというから驚きです、
南アフリカのクルーガー国立公園はゴルフコースで遊んでいるライオンやハイエナの映像をSNSに投稿し、アメリカのワシントン州ロングビーチではイタチ科のクズリが砂浜に打ち上げられた海洋生物の死骸を食べている写真が撮影されています。
フランスのパリではオスカーワイルドが埋葬されている墓地にキツネの一家が棲みつくなど、世界中で様々な動物が姿を見せています。
人間がいなくなったから行動が変化したのか、人々が窓の外を眺める時間が増えたのか、理由が明らかになるには時間がかかりそうですね。
YouTubeにオアシス・カステル・ディ・グイドにあらわれた2匹のオオカミの子供の映像がアップされていましたのでリンクを貼っておきます。
You Tube Uno dei cuccioli di lupo nati nell’Oasi Lipu di Castel di Guido